糖質制限で体臭がキツくなる!? 糖質制限ダイエットのデメリットと正しいやり方

今やダイエットの大定番となっている糖質制限ですが、そのやり方を誤ると健康上のデメリットがあることをご存知でしょうか?
自己流の過激な糖質制限で恐ろしい失敗をしてしまわないよう、今回は正しい糖質制限のやり方や、間違った糖質制限が招くデメリットについて、医師の工藤孝文先生に語っていただきました。

頭痛・体臭・眠気……意外と深刻な糖質制限のデメリット

そもそも糖質制限ダイエットとは糖質を減らすことでインスリンの分泌を抑え、中性脂肪が体内にため込まれにくい状態にするものです。しかしながら、あまりに過激に糖質を制限してしまうと、体調不良を引き起こす原因にもなってしまいます。

糖質制限を過度にすると、以下のような症状が生じることがあります。

●頭痛

厳しい糖質制限にすると体内のブドウ糖が不足し、低血糖症の原因になることがあります。頭痛や体のだるさは、この低血糖症によって起こります。このような症状を感じたら、すぐに糖質制限をストップしましょう。

●口臭や体臭(酸っぱい臭い)

糖質制限で体内の糖質が足りなくなると、体は中性脂肪をエネルギーとして使うようになります。このとき、ケトン体という物質が発生し始めます。ケトン体は独特の甘酸っぱい臭いがするので、これが口臭や体臭となって現れることがあります(個人差はあります)。

●異常な眠気

先にお話ししたように、体内の糖質が足りなくなるとケトン体という物質が発生します。ケトン体は酸性の物質なので、増えすぎると血液が酸性に傾いてしまい、体のだるさ・眠気などの原因になります。

毎日眠い・体がだるいといった症状が出ているのは、糖質制限によって体が悲鳴をあげている状態でなので、ただちに糖質制限を緩める、もしくはストップしてください。

●ハリ低下・パサパサ髪

極端に糖質を制限することで、体の細胞の生成に必要なタンパク質まで不足してしまい、肌のハリが低下し、髪もパサパサになってしまうことがあります。ダイエットの目的が「美」なのであれば、過度な糖質制限はおすすめできません。

●便秘

糖質制限で炭水化物の摂取を極端に抑えた結果、食物繊維が不足して便秘になる人もいます。また、炭水化物は体内に蓄積される際に、摂取量の3倍の水分を一緒に体に蓄積します。そのため炭水化物を食べないようになると、その分の水分も体内蓄積されないことになります。体内の水分が不足することで腸の働きが悪くなり、便秘になる恐れもあるのです。


なお糖質制限ダイエットで炭水化物などを減らした分、お肉をたくさん食べる人も多くいます。しかしお肉ばかりを食べていると、やはり食物繊維が不足して便が出にくくなることがあります。野菜をバランスよく摂取するのも大切ですが、例えば食物繊維の豊富なおからを上手に取り入れるなどをして便秘予防に努めましょう。

そもそも糖質制限で痩せるのはなぜ?

そもそも、糖質を制限するとどうして痩せるのでしょうか?正しくダイエットをするためにも、そのメカニズムについて知っておきましょう。

●知っていますか?糖質とインスリンと脂肪の関係

生きている限り体は常にエネルギーを消費します。そして、このエネルギー源こそが糖質です。

食事で摂取した糖質は、消化器官で分解されてブドウ糖になります。タンパク質や脂質など他にもエネルギー源はありますが、体が真っ先に使うのはブドウ糖です。例えば脳はエネルギー源の多くをブドウ糖に頼っていますし、全身の細胞に酸素を届ける赤血球はブドウ糖しかエネルギーとして利用できません。

そんな糖質を摂取するとき、体は糖を細胞内に取り込むためにインスリンを分泌します。インスリンは、エネルギーとして使いきれなかった糖を脂肪に変えて蓄える働きを持っています。そのため、過度に糖質を摂ると肥満につながることがあるのです。

●糖質を制限すると、脂肪が分解・燃焼される

そんな糖質の摂取を制限すると体は糖分の代わりに、中性脂肪や筋肉を燃やしてエネルギーにします。その際に、脂肪が分解・燃焼されます。これこそが、糖質制限ダイエットの本質です。

●糖質制限はアンチエイジングにもなる!?

エネルギーとして使いきれず余った糖質は、タンパク質と結合し糖化します。この糖化した物質は、老化の原因となります。例えばタンパク質が糖化すると、シミやしわができやすくなります。このことから、糖質の過剰摂取を控えることで、アンチエイジングにも効果が期待できると考えられているのです。

“ゆる糖質制限”で無理なく、健康的に痩せよう

糖質制限ダイエットをするならば、過度に糖質をカットするなどの方法ではなく、少しずつ緩やかに始めましょう。始める前に知っておきたい4つのポイントについてお話しします。

1、糖質の摂取量は、朝30g・昼30g・夜30g・間食10g程度に

私が提唱する「工藤式」では1日の糖質摂取の目安を100ℊとしています。大まかにいうと、朝30g・昼30g・夜30g・間食10gぐらいが適量です。
ちなみに糖質30gは、白米だとお茶碗に半分弱といった感じです。これを基準に、ご自身の生活スタイルに合わせて調整してみてはいかがでしょうか。

これ以上の糖質制限を過度に長期間続けると、体調不良の原因になります。バランスよく、緩く続けていくのがダイエット成功の秘訣です。

2、「糖新生(とうしんせい)」のため!? 良質なタンパク質・油を摂取する

糖がないときに他の栄養素を使って、体が糖エネルギーの代わりを作ろうとする働きを「糖新生(とうしんせい)」と呼びます。糖新生には、タンパク質や脂質などが使われます。健康な体の維持のためにも、タンパク質や油はきちんと摂取する必要があるのです。

また糖質制限をすると、体は脂肪や筋肉をエネルギーとして燃やそうとします。このとき、どうしても筋肉中のタンパク質が分解されてしまいがちなので、それを少しでも食い止めるためにもタンパク質はしっかりと食べておきましょう。なお油はカロリーが高めなので、油を摂取するときは適度な量で良質な油を選ぶことがポイントです。

3、食物繊維を摂取して腸内環境を整える

糖質制限によって食物繊維が不足することで、便秘になったり肌荒れにつながったりすることがあります。食物繊維の不足分は、野菜やおからといった食物繊維を多く含む食品を意識的に食べたり、サプリを摂取したりしてしっかりと補いましょう。

4、食べる順番にもポイントが!

諸説ありますが、ダイエットに効く食べる順番として「ミートファースト」という考え方があります。肉の8割ほどを最初に食べて、その後に副菜→ご飯という順番です。
肉を先に食べると「インクレチン」という成分が分泌されるのですが、その分泌により血糖値の急上昇が抑えられ、食後の血糖値の乱高下を予防できます。インクレチンがインスリンの働きを促進し血糖値の上昇を抑えてくれるからです。

また、肉にはL-カルニチンという成分も豊富に含まれています。筋肉の中には脂肪を燃焼してエネルギーとする物質があるのですが、その働きを助けるのがL-カルニチンなのです。さらに肉はタンパク質も豊富に含んでいるので、満腹感を促して食欲を抑えてくれる効果も期待できます。

朝・昼・晩。正しく痩せる理想の献立

緩い糖質制限での糖質摂取量は、1日100ℊを目安とするのがおすすめです。できれば、昼はしっかり食べて、夜は控えめにするというのが理想的ですが、自分の生活スタイルに合ったやり方で始めるのがいいと思います。
今回はサンプルの食事をご紹介します。

●朝の糖質オフ献立

朝は、食べられる人は食べたほうがいいと思います。1日のエネルギーとなる白米を、小さな茶碗に半分ほど食べましょう。もしくは小さめのおにぎりにするのもいいかもしれません。そこにワカメや豆腐の味噌汁に目玉焼きをプラスしても、糖質量は30g前後です。

●お昼の糖質オフ献立

お昼はエネルギーが消費されるため、1日の中でしっかり食べるチャンスの時間だと考えてください。ただし糖質の高い丼物や麺類は避けて、なるべく栄養素を多く摂取できるメニューを選びましょう。夜に白米を食べないのであれば、お茶碗八分目くらいまでなら食べて大丈夫です。例えば、肉じゃが・いんげんの胡麻和え・白米を食べても糖質量は50gほどです。1日の中で糖質のバランスがとれるように、何をどれくらい食べたのかはしっかり把握しておきましょう。

●夜の糖質オフ献立

食べた後に就寝する夜はエネルギーをあまり消費できないので、摂取量は控えめにするのが理想的です。夜だけ白米を食べないというのもいいでしょう。

とはいえ栄養を摂るために、牛ヒレ肉のステーキを食べたとしても糖質量は0.3gほど。そこにレタスとキュウリのサラダをプラスしてマヨネーズを大さじ1杯かけたとしても糖質量は2g前後です。食べ物に含まれる糖質量をしっかり把握すれば、糖質制限をしながらも満足できる食事をとることができますよ。

●カロリー制限と混同しないで取り入れよう

カロリー制限と糖質制限は異なるものです。混同してしまうと糖質制限時に必要な栄養素が不足してしまうことにもなりかねませんので注意してください。
ただし、糖質制限を正しくしているのに変化が見られないというときは、カロリーを摂取しすぎているかもしれません。その場合は、一度食べている量などをみなおす必要があります。

まとめ

メカニズムやデメリットを知らずに、過度な糖質制限をすることは大変危険です。体調を大きく崩すことにもなりかねません。糖質制限ダイエットをする際は、しっかりとした知識を持って、バランスよくゆっくりとしたペースで始めていくことが大切だと思います。

監修

工藤孝文
医師

福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学、 帰国後、大学病院、地域の基幹病院での診療を経て、現在は福岡県みやま市の工藤内科で診療を行っている。スマホ診療を導入し、全国規模でダイエット治療・漢方治療を行っている。日本内科学会、日本糖尿病学会、日本肥満学会、日本東洋医学会、日本抗加齢医学会、日本女性医学学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、小児慢性疾病指定医。『人生を変える!おからヨーグルトダイエット』、『痩せグゼの法則』など著書多数。NHK『あさイチ』、『ためしてガッテン!』、TBSテレビ『名医のTHE太鼓判』、フジテレビ『ホンマでっか⁉ TV』など番組出演も多数。