物忘れを防ぐ!記憶力を高めるカンタン脳トレーニング【医師監修】

「あの人の名前何だったかな……」
「何を取りに来たんだっけ?」
などなど、記憶力の低下を感じる機会、ありませんか?

年齢を重ねると「物忘れ」が増えてくるように思われますが忘れっぽくなった原因は、年齢のせいだけではありません。

そこで今回は、記憶力が低下する理由と記憶力を高めるトレーニングについて、脳の成長をサポートする「脳の学校」代表で脳内科医・医学博士の加藤俊徳先生にお聞きしました。

記憶力が低下する理由は、年齢以外にもある!

「記憶力が落ちている」と感じ始めるのは、40~50代が多いといわれています。その年代の関係からか、「忘れっぽくなったのは、年齢のせい」と思われがち。しかし実は物忘れの多くには、年齢だけではなく、以下のような日々の暮らしの習慣が大きく関係しています。

① 脳を刺激する「新しい体験」が少ない
人間の脳は、新しいことを記憶することで成長していく器官です。その脳を衰えさせないためには、刺激が必要。しかし、40~50代は新たなことにチャレンジする機会も減っていく時期でもあります。

このことは、物忘れの要因のひとつになっていると考えられます。新鮮な体験をしなければ、脳は新しい記憶を取り入れることが少なくなり、記憶力がどんどん衰えていくのです。

② 寝不足で記憶が定着しない
人間の脳は寝ている間にふたつの重要な作業を行うといわれています。

ひとつは記憶の定着作業です。深い眠りによって脳のシステムが働き、起きている間に取り込んだ記憶を整理して定着させます。

もうひとつは老廃物の除去作業。私たちの体内では溜まった老廃物をリンパ液が排出していますが、脳でも同じように老廃物を取り除くシステムが働いています。それが行われるのが寝ている間なのです。

実は睡眠が足りないと排出機能が不十分になり、老廃物が脳に沈着して、脳の機能が衰えやすくなると考えられています。特に、記憶をつかさどる「海馬」に老廃物が沈着すると、記憶力が低下しやすくなるとされています。睡眠時間の理想は、人によって違いはありますが最低でも7時間前後必要。良質な睡眠がとれるよう、睡眠習慣を見直してみましょう。

③ 更年期で女性ホルモンが低下している
更年期を迎えて女性ホルモン・エストロゲンが低下すると、寝不足になったり、うつ状態になりやすくなったりします。それがきっかけで、間接的に記憶力が低下することがあります。
また、エストロゲンそのものが脳の働きを良くしているといわれているので、直接的な要因にもなりうると考えられます。

④ 運動不足で脳が覚醒しづらくなっている
新しい記憶を取り入れるためには、脳をしっかり覚醒させておく必要があります。しかし、運動不足だと脳はうまく働きません。

記憶力を高めるには午前中早い時間帯に運動をしてしっかり脳を覚醒させてから、日中に高い意識レベルで脳の活動をキープすることが大切になります。

運動不足解消におすすめなのはウォーキングです。体を動かすだけでなく外の風景を見て目も使うので、目から情報を得ることで脳に刺激を与えられます。

⑤ スマホに頼って自分の記憶力を使わない生活をしている
何でもスマートフォンに頼っていると自分の頭で考えることをしないので、記憶力を使わない習慣がついてしまいます。

また、本来眼球を動かして何かを見る行為は脳への刺激になりますが、画面がせまいスマホは見ていても眼球運動がほとんど起こりません。そのため、いくらたくさんの情報をインプットしていても脳にはあまり刺激がいかないと考えられます。

加えて、スマートフォンでは空間に奥行きを感じたり、出会った人の表情を見たりすることはありません。そのため、直接目で見ることでしか働かない脳の機能、視覚的な分析能力が鍛えられなくなります。

物忘れと認知症って違うの? 見分け方のポイントは?

記憶力が落ちると、「もしかして、認知症の初期症状?」と心配する人もいるのではないでしょうか。

認知症と物忘れを見分けるポイントのひとつが、少し前の出来事について思い出せるかどうか。例えば、誰かと会話をした内容を3分も経たないうちに忘れてしまう場合は、認知症の可能性が疑われます。このほか、「体験自体を忘れてしまう」「聞き間違いが多い」「勝手な解釈をする」なども認知症に見受けられる特徴です。

また、認知症ではなく単なる物忘れの場合、生活習慣を変えれば改善が見込めます。人間の脳はいくつになっても成長し、記憶力も鍛えられるのです。

まずは、寝不足・運動不足の解消を。また、目と耳からの刺激も大切。ラジオを聞いたり絵画を見に行ったりするのはおすすめです。このほか、記憶する習慣を持っている人は衰えにくいと言われています。「いつでもスマホで調べられるし」と思わずに、できるだけ記憶するように意識してみましょう。毎日日記をつけるのも良い習慣です。

物忘れを防いで記憶力を高めるトレーニング

生活習慣や自分の意識を変えることに加え、記憶力トレーニングを行いましょう。日常生活の中で気軽に取り入れられるので、ぜひやってみてくださいね。

① 買い物では小銭で支払う。
お会計を小銭で支払うためには自分で財布の中を探して、計算して、指を使って細かいお金を取り出します。実は頭も指先も使うので、脳が刺激される良いトレーニングになります。

② 歩きながら同じ漢字や数字を数える。
例えば、家からスーパーまで買い物に向かう途中、看板や標識などで「5」の数字や「新」という文字を何回見たかを数えてみます。数字や漢字は何でも構いません。日によって変えるといいでしょう。

③ 部屋の片付けをする
片付けとは、モノを決まった場所に戻すこと。そのためには、部屋の元の状態・モノがもともとあった場所を覚えておく必要があり、意外にも記憶力を使います。モノを出しっぱなしにしておくのではなくまめに片づけると、脳のトレーニングにもなるのです。

④ グーパートレーニング
まず右手をグーにして胸に、左手をパーにして前に出します。次は右手をパーに開いて前に出し、左手はグーに閉じて胸の位置に戻すというように、交互にグーとパーを出す動作を10回繰り返します。
左右で異なる動作をすることで脳を刺激します。

まとめ

記憶力が鍛えられると、仕事の効率がアップしたり、決断力が早くなったりとメリットはたくさん。
「年だから……」とあきらめないで! 何歳からでも脳は成長します。
トレーニングは認知症予防にもなるので、できることから始めてみましょう。

監修

加藤 俊徳 先生

脳内科医・医学博士、加藤プラチナクリニック院長、株式会社脳の学校代表。昭和大学客員教授。脳活動計測「fNIRS法」を確立。現在は世界700カ所以上で脳研究に使用されている。1995年から6年間米国ミネソタ大学放射線科MR研究センターでアルツハイマー病や脳画像の研究に従事。帰国後は慶應義塾大学や東京大学などで、脳の研究に従事。1万人以上を加藤式MRI脳画像診断法でその人の潜在能力などを分析し治療。『脳の強化書』(あさ出版)、『部屋も頭もスッキリする!片づけ脳』(自由国民社)、『脳にいい! 通勤電車の乗り方』 (交通新聞社新書)、 『脳が若返る最高の睡眠:寝不足は認知症の最大リスク 』(小学館新書)など著書多数。

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