
2020.3.18
健康
注目!乳酸菌の正体・上手な取り入れ方【専門医監修】
近年の健康ブームとともに、乳酸菌への関心はどんどん進化しています。乳酸菌が含まれる発酵ドリンク「コンブチャ」がブームになったり、ギリシャヨーグルトやカスピ海ヨーグルト・自宅で簡単にヨーグルトが作れるヨーグルトメーカーも根強い人気があります。
そんな大注目の乳酸菌ですが、具体的にどんなものなのか・摂取するとどんな効果が期待できるのか知っていますか?そこで今回は、新宿大腸クリニックの院長であり、乳酸菌の専門家である後藤利夫医師にお話をお聞きしました。
乳酸菌ってどんな菌? ビフィズス菌・善玉菌・悪玉菌との違いは?
●乳酸菌とは
乳酸菌は、糖類から自分で代謝して乳酸を作り出す細菌の総称です。
お腹の調子を整えてくれる効果が有名ですが、それだけではありません。自立神経を整える・免疫力をアップする・血液や口腔環境を改善するなど、さまざまな効果が期待できると分かってきています。
●ビフィズス菌とは
お腹に良い菌と言えば、ビフィズス菌も有名です。
ビフィズス菌は乳酸菌の仲間のようなもの。乳酸菌と同じように、乳酸を作りだします。違いのひとつは“住んでいる場所”。乳酸菌は主に小腸に住むのに対して、ビフィズス菌は大腸に住みつきます。
●善玉菌・悪玉菌とは
よく「腸内環境を整えよう」というフレーズを聞きますが、これが意味するのは「善玉菌と悪玉菌のバランスを保とう」ということです。乳酸菌は、善玉菌に分類されます。子どもの頃は善玉菌が とても多いのですが、年齢を重ねるごとに減少し、悪玉菌の比率が高まっていきます。そこで乳酸菌やビフィズス菌を積極的に摂り、減っていく善玉菌を補うことが大切になってくるのです。
ご紹介した腸内細菌は、腸内で菌種ごとにひとかたまりになっていて、お花畑のように見えるため、腸内フローラ(腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう))と呼ばれています。
乳酸菌の起源は紀元前。人間と馴染み深い菌
古くから乳酸菌は、世界中で乳製品・漬物などに使われてきました。乳酸菌食品の代表格・ヨーグルトの起源は、紀元前数千年前だそう。羊や牛などの放牧をしていた人々が乳を長期保存するため酸乳(さんにゅう)(=発酵乳)の技術を身につけて作ったのがヨーグルトだと言われています。
そんな乳酸菌の研究が進んだのは19世紀以降。フランスの科学者・パスツールが、乳酸菌を初めて顕微鏡で確認しました。その後、生物学者・メチニコフがヨーグルトを長寿の秘訣と考え、健康効果を研究し、健康に良い食べ物という考えを広めたとされています。
乳酸菌は機能で選ぶ時代に。意外なアレにも入ってます!
●注目を集める乳酸菌
乳酸菌などの体に良い作用をもたらす微生物は「プロバイオティクス」と呼ばれており、近年では医学の世界でも注目が高まっています。
また、乳酸菌の注目の余波は、さまざまな乳酸菌入り食品の登場にも表れています。
例えばコーヒー・即席みそ汁・ふりかけ・かまぼこ・カップ麺・フィッシュソーセージ・サラダチキンなど。
お菓子では、チョコレート・ポテトチップス・キャンディ・グミ・どら焼きまで!
他にも牛丼の具・お好み焼き粉・ホットケーキの素、さらに乳酸菌配合のペットフードなども登場しているようです。
●乳酸菌を活用した商品作りがトレンド!?
様々なジャンルで活用が進む乳酸菌ではありますが、実は少し前までは、乳酸菌の機能はそこまで明らかではありませんでした。ヨーグルトについても“なんとなく体に良い”、というレベルの理解だったのです。
しかしここ数年で、体の諸症状に対して効果が期待される乳酸菌がつぶさに調べられました。そして「それらを用いてヨーグルトにする」というような、乳酸菌を活用した商品づくりが活発にされるようになったのです。
より乳酸菌が研究され、バラエティ豊かなアイテムが手に入るようになった昨今。乳酸菌は整腸作用だけではなく、さまざまな機能を期待して選ぶ時代になっていると言えます。
乳酸菌は、どのくらいの量を何日摂れば良い?
乳酸菌を含むヨーグルトは1日100~150ℊくらいを目安に摂ってみましょう。
毎日摂り続けた場合の菌数を測ってみると、2週間で一定の量に達し、効果が発揮されることが多いようです。そのため自分に効果があるかを試すなら、まずは2週間継続して食べてみると良いでしょう。
免疫力アップやアレルギー症状の改善を期待するなら、免疫細胞が増えてくるまでに時間がかかるため、3カ月くらいを目安にしてください。
1日食べ忘れたからと言って、急激に菌数が減ることはありません。摂取をやめると2週間くらいかけてゆっくりと減っていきます。ただし、残念ながら大人になってから摂った菌は定着しないので、効果を持続させるためには継続して摂る必要があります。
乳酸菌の効果を最大限に!? お手軽スムージーレシピ
乳酸菌を含むヨーグルトは、実はほぼ完全食!足りないものと言えば、食物繊維とビタミンCくらいです。そのため、フルーツやドライフルーツと一緒に食べるのが理想的だと言えるでしょう。なお乳酸菌はオリゴ糖をエサにするので、甘さを足すなら砂糖よりもオリゴ糖を。
今回は、上記のポイントを抑えた乳酸菌の効果を引き出してくれる、とっても簡単なスムージーのレシピをご紹介します。
●ベリースムージーの作り方
【材料】(1杯分)
- ・冷凍ミックスベリー 50ℊ
- ・ヨーグルト 100ℊ
- ・オリゴ糖 大1
【作り方】
全ての材料をミキサーに入れ、なめらかになるまで攪拌するだけ!
乳酸菌を味方につけて、心も身体も健やかに
多忙な毎日の中で美しさと健康を維持したい現代人にとって、乳酸菌を味方にしない手はありません。
ちなみに、乳酸菌食品をいつ摂ると良いかについて。食後の方が、飲食物が胃酸を薄めているので乳酸菌が生きたまま腸管まで届くという考え方もありますね。でも後藤先生によれば、タイミングは神経質にならず、いつでも良いそう。それよりも自分が習慣化できるタイミングを決めて、毎日摂ることの方が大切なのだとか。朝食が摂れない方は、朝食がわりにドリンクで摂るのでもOKとのこと。
ぜひ上手に取り入れ、健康的な生活を送りましょう。
監修
後藤利夫 先生
新宿大腸クリニック院長。大腸内視鏡5万件以上のベテラン医師。「大腸がん撲滅」を目標に、無麻酔・無痛大腸内視鏡検査法「水浸法」を開発。大腸がん予防のため、腸内細菌や乳酸菌にも造詣が深い。著書に、『乳酸菌がすべてを解決する』(アスコム)、『あなたの知らない乳酸菌力』(小学館)など多数。