健康チャンネルマガジン 特集記事Vol.1 脳科学から解析。太る原因は脳の自動操縦!? 意識をかえて痩せ脳に。 健康チャンネルマガジン 特集記事Vol.1 脳科学から解析。太る原因は脳の自動操縦!? 意識をかえて痩せ脳に。

健康チャンネルマガジン 特集記事Vol.1
脳科学から解析。太る原因は脳の自動操縦!?
意識をかえて痩せ脳に。

2020年10月27日健康チャンネルマガジン
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世の中には、数多くの健康法がありますが、今回は、脳科学の観点からアプローチをした健康法を提唱されている久賀谷先生にインタビュー。やせやすい人と太りやすい人では、脳の働き方でどんな違いがあるのか、効果的にダイエットを行うための食事の取り方など、食事と脳の意外な関係を伺います。

この記事のポイント!

  • ・太りやすい人は脳の中の快楽中枢が優位になりやすい
  • ・感情に任せて食べるのではなく、食べる前のブレイクが大切
  • ・取り入れやすいマインドフルネスでココロもカラダも健康に

「ガマンするのは逆効果!?」これからは食欲を
コントロールして「太らない脳」へ

コロナ渦において、私たちは多くのガマンを強いられています。人との接触は極力抑えられ、一時期は外出自粛や外食の機会すら制限されました。多くの人は、自宅でリモートワークを行っています。この社会の大きな変化は、私たちの体にも少なからず影響を与えています。

外出の機会が減れば運動量も減少します。リモートワークを始めたことで、実は通勤が結構な運動だったことに気づいた人も多いはず。でも食べる量は以前と変わらないとなれば、当然、体重や体脂肪に影響を与えます。

「じゃあガマンして食べる量を減らすか」と考えるのは、よくあるダイエット。それに対して、脳科学の視点から“食べ方を変える”マインドフル・ダイエットを提唱するのが、イェール大学などで先端脳科学研究に携わってきた精神科医の久賀谷亮(あきら)さん。

「食べるという行動は脳が担っています。脳の中には快楽中枢と呼ばれる場所があり、食べた物が糖質となってその部位を刺激すると快楽を感じて、もっと食べたいと思うようになります。
私は報酬回路と表現していますが、この回路が甘い物依存や過食などと非常に密接に関係しているのです。それに対して、理性を司るのが前頭葉。感情や快楽をうまく制御している部分です。この2つの力関係のバランスが取れていればいいのですが、太りやすい人は快楽中枢が優位になりやすい素質を持っているのではないかと思っています」

「ダイエットの定番は何事も『もっとガマンしなさい』になりがちですが、私はそれについては反対です。むしろ、ガマンをあおってしまうと、ガマンできない自分を責めてしまいます。それが理性脳を弱くしてしまい、逆に快楽を求める脳を優位にしてしまうのです。その結果、甘い物を過剰に求めたり過食につながってしまうことが、研究からわかっています」

つまり、久賀谷先生が提唱する方法は、食べたい欲求を無理やりガマンで抑え込むのではなく、『太らない脳』をつくることで欲求をうまく乗りこなして体を改善させる新しいメソッドなのです。

いますぐ実践!『食前セレモニー』で
食欲をコントロール

『太らない脳』へと変えるために、まず取り組むべきは、目の前にある食べ物を「なんとなく」食べないことだと久賀谷先生は言います。

「例えば、目の前にケーキがあると衝動的に食べてしまう。この一連の流れは自動操縦のようなものです。それを断ち切ることが、とても大事なのです。 まずは自動操縦で食べないようにする。そして、もう一つが、食べ方に気づくということですね。食べ物の種類やカロリーなどを気にするのではなく、食べる行為に視点を移してみるということ。感情に任せて食べるのではなく、一回ブレークを入れる。それが自動操縦状態から外れるカギとなります」

脳の自動操縦から外れ、食べ方を変える第一段階の方法として久賀谷先生が紹介しているのが『食前セレモニー』というもの。やり方は次の通りです。

■食前セレモニーのやり方

  • ①料理を前にしたら、まずは食べる前に気持ちを整える。
  • ②食べ物をよく観察し、その由来を想像する(①②で30秒かける)。
  • ③呼吸に注意を向け、それに伴う身体の感覚を意識する。
  • ④10段階の数字で「どれくらい食べたいのか」を頭の中で表す。
  • ⑤食べ物の匂いをかいだりした時の身体の反応を確かめる。
  • ⑥「なぜ食べたいのか」に思いを巡らす。

全く道具を必要としない方法ですが、自分には難しいと考える人もいるかもしれません。そこで久賀谷先生が、もっと簡単に脳を自動操縦から外す方法を紹介してくれました。自分の手と指を使うだけの方法です。

やり方は簡単。左右どちらかの手を開き、逆の手の人さし指で、親指から小指の5本の指をゆっくりなぞっていくというもの。ここで大切なのは呼吸の仕方。なぞる方の人さし指が、もう一方の手の指の先端に達する時に息を吸い、指の股に下ろしたところで息を吐く。これを5本の指全てで繰り返します。

「自動操縦状態から外れる方法を食事に当てはめたのが『食前セレモニー』ですが、この5本の指をなぞる方法もコンセプトは同じ。呼吸に注意を向け、心を鎮めることで自分の内面に目を向けるわかりやすい方法と言えますね。
要は、何かに注意を向けることでブレークを入れる。注意を向けることは自動操縦状態を外れる非常にシンプルな方法であることが、脳科学的に判明しているのです」

86%が「食行動の改善効果」をしめす。
マインドフルネスでココロもカラダも健康に

マインドフルネスを用いた、久賀谷先生が提唱するマインドフル・ダイエットが、どれだけの効果を上げているのでしょうか。特に、これまでさまざまなダイエットに取り組んでは失敗を繰りかえしてきた人なら、気になる人も多いはずです。

「女性をランダムに2つのグループに分けて、一方にはマインドフルネスのトレーニングを実施してもらい、トレーニングをしなかったグループと比較した実験があります。その結果、2時間のマインドフルネスを4回ほど行ったグループでは体重が2キロ以上減ったという報告がありました。また、マインドフルネスの効果を検証した研究の86パーセントが『食行動の改善効果』を示しています。
ただ、体重の減少ばかりに注目してほしくはないんですよ。マインドフルネスのトレーニングを行なったことでストレスフリーとなり、過食などの行動が改善されたものであって、体重や体脂肪の減少はあくまでも結果でしかないのです」

久賀谷先生によると、脳の自動操縦状態は健康状態にも影を落とし、もっと話を広げるならば人の幸せについても関わってくるといいます。体重や体脂肪が気になるために始めたマインドフル・ダイエットが、日々のストレス解消や良い生き方ができるように脳を変えてくれる可能性もあります。

コロナ渦で何かとストレスが溜まりがちな現在、体重や体脂肪の増加を気にすることはもちろん、心の健康にも目を向けることが大切です。今回、紹介いただいた方法を取り入れながら、ココロもカラダも健康に過ごしていきましょう。

監修

久賀谷亮(あきら)

久賀谷亮(あきら)

イェール大学医学部精神神経科卒業。アメリカ神経精神医学会認定医。アメリカ精神医学会会員。日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだ後、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。2010年、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。同院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、最先端の治療を取り入れた診療を展開中。脳科学や薬物療法の研究分野では、2年連続で「Lustman Award」(イェール大学精神医学関連の学術賞)、「NARSAD Young Investigator Grant」(神経生物学の優秀若手研究者向け賞)を受賞。

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